朝起きると、毎秒9から11メートルの北風が吹いていた。マシーンを早々に納屋から引き出し、信号旗を揚げて沿岸警備隊施設に合図を送った。我々が飛行準備をしていると、ダニエルス、ドウ、エタリッジ、ブリンクリー、ムーアの5人が見学に集まって来た。エンジン、プロペラを回して準備を整え、10時35分、私は最初の飛行に向けてマシーンに乗った。この時の風速はおよそ9メートル強。(政府機関の公式な風速計では12メートル。)
ロープを解き放すとマシーンは滑走を始め、11km/hから13km/hくらいまでスピードを上げた。マシーンは4番目のレールにさしかかったところで中に浮いた。ダニエル氏は、まさにレールを離れる瞬間をカメラに捕らえた。前方の昇降舵が重心に近いために過敏な反応を示し、上下運動を制御するのが非常に困難だった。結果としてマシーンは10フィート上がったかと思うと、今度は地面に向かって急降下した。レールの終端から100フィートくらいのところで突然地面にたたきつけられた。飛行時間12秒。
---1903年12月17日、オービル・ライト手記より---
*ライト兄弟が活躍していた当時の写真はUSAの国会図書館から引用したものです。
*Old age Wright's pictures in these pages were drawn from the U.S. Library of Congress.