厳かで、上品な装いのエンパイアステートビルに比較すると、何とも素っ気ない二本の
柱で、夜は特にライトアップもしないツインタワーですけど、これが無くなると、マンハ
ッタンの方角が遠くから確認できなくなるのであります。ツインタワーのおかげで、ロン
グアイランドからもニュージャージーからもあそこにマンハッタンがあると分かるのであ
りました。マンハッタン周辺に住む住民にとって、ある意味では富士山だったかもしれま
せん。
エンパイアステートビルの展望台に上がってマンハッタンを眺めると、当然ですが、マ
ンハッタンの象徴であるエンパイアステートビルは見えないわけで、ツインタワーだけが
観光客に「ここはマンハッタンですよ」と教えてくれるのであります。あまり魅力を感じ
ないツインタワーでしたが無くなると、マンハッタンが寂しくなります。
飛行機で体当たりは誰も想像しなかったことでしょう。まさにアクション小説の世界が
現実に起こってしまったのであります。新しい世紀開幕の年に、このような大惨事が起こ
ったことは、今世紀の行く末を暗示するようで、恐ろしい感じがします。「これから世界
はどうなるのだろうか。」と悩むのは考えすぎでしょうか。
ツインタワーは、今まで本土を爆撃されたことのないアメリカ人の、傲慢な鼻だったか
も知れません。皆に支援される理由はそれなりにあったかもしれないけど、アメリカが弱
小貧困な国を相手に、爆撃、侵略を繰り返してきたことは事実であり、アメリカ人を「い
やな奴ら」と見ている国は多いでしょう。同盟国側からみてもアメリカ人特有の傲慢な態
度、語り口には辟易している人もいますよね。
ブッシュが報復戦を叫んでいますが、仇打ちが美徳とされたのは我が国では江戸時代に
遡ります。やられたからやり返すというのは外交ではありませんよね。それよりも犯罪者
の動きを事前に察知しながら、これだけ大がかりな、計画的なテロを防止できなかった事
に対し、責任を追及することが必要ではないでしょうか。アメリカの安全網が完全であれ
ばこのようなことは起こりえなかったと思います。まずはアメリカ政府に過失が無かった
かを、真剣に調査していただきたいですね。
アメリカの外交のまずさ、危機管理の欠如が生んだかも知れない今回の事件で、これだ
け大勢の日本人の犠牲者を出したことに関し、アメリカ政府から日本政府に対し謝罪の言
葉、お見舞いの言葉が欲しかったと思います。
「戦争」と言うのはその国のトップにいる人々にとっては、人民をまとめ統率する絶好
の材料です。かつての日本もそうでした。西郷隆盛はそれだけの理由で征韓論を唱え、不
本意な西南戦争を起こしました。「戦争」は、時には勇ましくてかっこいい響きがありま
す。
いち早く、いいタイミングで、いかにもアメリカ人の喜びそうな方法で、報復戦をアナ
ウンスしたため、ブッシュの人気は急上昇し、アメリカの責任問題はまったく議論されて
ません。まだ救出すべき生存者がいるかも知れない瓦礫の山の上で、あれだけのパーフォ
マンスを披露できる政治家はアメリカ人以外にはいないでしょう。この辺はうまいなぁと
思います。さらに勢いも手伝って「日本も一緒にラディンを殺そうぜ」とお誘いを受け
て、「頑張ります」と答えてしまった小泉さん。日本人犠牲者とそのご家族の事を本当に
考えているかなぁ。犠牲者は本当に世界戦争を望んでいるだろうか。
|