3.伊25潜水艦のこと
田上明次中佐の指揮する伊25潜水艦は、乙型と呼ばれる一連の大型潜水艦で、同型艦は20隻製造された。遠洋航海ができて速度も速く、さらにこの型は密閉型の飛行機の格納庫が司令塔の前方に設けられており、潜水艦搭載専用に開発された水上機、「零式小型水上偵察機」を折りたたんで格納することができた。
潜水艦に飛行機を積み、偵察用途に使う試みは古くから欧州で企てられていたが、これを実戦に取り入れ、ある程度成功したのは日本海軍だけであった。
飛行機は圧縮空気式のカタパルトを使って前方に投げ出されるように離陸し、帰投時は海上に着水して、艦に近づけてからクレーンで吊り上げて甲板に戻した。
運用には飛行機と潜水艦との信頼とチームワークが不可欠で、潜水艦はあらかじめ定められた会合地点で浮上したまま飛行機の帰りを待たねばならない。浮上した潜水艦ほど無防備で弱いものはない。飛行機の組み立て、発進、帰投、分解、格納の作業中、もし敵に発見されれば一巻の終わりだ。そのようなわけで、危険にさらされている時間の長い同種の潜水艦は世界的にあまり普及しなかったようだ。
搭載される飛行機の方は、速度も遅くたいした武器も持たない小さな機体で、もし敵機に襲われたらひとたまりもない。敵の戦闘機に発見され、追われたらその時点で潜水艦に戻ることはできなくなる。敵機を引き連れたまま母艦に戻るわけにはいかない。それでなくとも偵察を終えたあと、大洋に米粒のように浮かぶ母艦を探すのは至難の業だった。潜水艦搭載の飛行機による偵察はそれだけ危険な任務であった。以下伊25の諸元等。
| 乗員数 | 94名 |
| 全長 | 108.7m |
| 全幅 | 9.3m |
| 排水量 | 2584トン |
| 速度 | 水上23.6ノット、水中8ノット |
| 安全潜航深度 | 100m |
| 水上航続距離 | 速度16ノットで14000海里 |
| エンジン | ディーゼル12400馬力、電動モーター(潜水時)2000馬力 |
| 魚雷発射管 | 艦首に6門 |
| 積載魚雷数 | 17本 |
| その他武装 | 14センチ砲1門、25ミリ機銃4、それに零式小型水上偵察機 |
| 伊25の完成日 | 1941年10月15日、三菱神戸造船所にて |
| 伊25の主な所属 | 横須賀、第6艦隊、第一潜水戦隊 |
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